「年末年始の食べすぎや飲みすぎでお腹が気持ち悪い…」
「旅先だとついつい食べすぎてお腹の調子を崩してしまう…」
「昔に比べると胃の調子が悪くなった…」
時間がたてば自然と治まるものの、おなかが気持ち悪いままでは遊びにも仕事にも集中できませんよね。とはいえ、わざわざ病院に行くほどでもない。
ドラッグストアで胃腸薬コーナーに立ち寄るものの、種類が多くて困ってしまう方は少なくありません。
有名な商品を選んでおけば大丈夫!と考える方も珍しくありませんが、知識を持っている人と持っていない人との間には埋められない差があるもの。遠回りをしないためにもしっかり学んでおきましょう。
今回は、日本人なら誰もが知っていると言っても過言ではない太田胃散について、以下の点を紹介します
。- 太田胃散の効能・効果
- 太田胃散の成分
- 太田胃散の用法・用量
- 太田胃散の副作用と注意点
- 太田胃散に関するよくある質問
- 太田胃散の種類による違い
太田胃散の効能・効果
まずは、太田胃散の効能・効果について紹介します。自分自身にあてはまる症状があるかどうかを確認してみてください。
太田胃散の効能・効果は次のとおり。
- 飲みすぎ
- 胸やけ
- 胃部不快感
- 胃弱
- 胃もたれ
- 胃痛
- 消化不良
- 消化促進
- 食欲不振
- 胃酸過多
- 胃部・腹部膨満感
- はきけ(胃のむかつき、二日酔い・悪酔いのむかつき、悪心)
- 嘔吐
- 胸つかえ
- げっぷ
- 胃重
ご覧の通り、太田胃散は胃の症状に幅広く効果を発揮します。効果のない症状がないのでは?と思うくらいですよね。
ただし、あまりにも効果の範囲が広く、二日酔い予防にもなると思っている方も珍しくありません。
残念ですが、あくまで二日酔いのときのの”はきけ”に効果があるのであって、太田胃散は二日酔い予防にはなりません。勘違いしないように注意しておきましょう。では、本題に入っていきましょう!
太田胃散の成分
胃の不快な症状に抜群の効果を発揮する太田胃散ですが、その秘密は成分にあります。
ここでは、太田胃散の成分について解説します。成分の働きについて知ることで、自分の症状に合っているかどうかを判断しやすくなるので参考にしてみてください。
太田胃散の成分は大きく分けて次の3種類に分類されます。
- 健胃生薬
- 制酸剤
- 消化酵素
それぞれ詳しく解説します。
健胃生薬
健胃生薬とは、読んで字の如く、胃を健やかにする生薬です。なお、生薬とは、植物由来、動物由来、鉱物由来の成分のこと。
太田胃散には次の7つの健胃生薬が配合されています。
生薬名 | 効能・効果 |
ケイヒ | 独特の香りが弱った胃を元気にして、胃液の分泌を調整 |
ウイキョウ | |
ニクズク | |
チョウジ | |
チンピ | |
ゲンチアナ | 独特の苦味が弱った胃を元気にして、胃液の分泌を調整 |
ニガキ末 |
スパイスに詳しい人なら、ピンとくるかもしれませんが、実はこれらは西洋で味付けに使われているスパイス。カレーの香りをかぐと食欲がそそられるように、スパイスは私たちの身体に働きかけます。
スパイスが「太田胃散」という日本生まれ日本育ちかのような名前なのは不思議ですが、太田胃散はもともとは1879年に太田胃散の創業者である太田信義氏がオランダ人の医師の方から処方を受け継いたことがきっかけ。肉食文化の西洋の処方をベースに、日本人に合うように改良を重ねられ100年以上も支持されるまでに至りました。
昔と比べて肉食に偏りがちな日本人に人気なのも納得ですよね。
制酸剤
制酸剤とは、出過ぎた胃酸を中和してくれる成分です。
太田胃散には次の4種類の制酸剤が含まれています。
- 炭酸水素ナトリウム
- 沈降炭酸カルシウム
- 炭酸マグネシウム
- 合成ケイ酸アルミニウム
4種類もの制酸剤が含まれているのは、それぞれ速効性、持続性、遅効性と作用時間が異なるためです。
服用した直後は不快感がおさまっても、時間がたてば、ぶり返すようでは困りますよね。一方、服用した直後は効果はなくとも、後になって効果を実感できるのでは遅すぎると感じるかもしれません。
不快感で困っている最初から最後まで効果が期待できるのは頼もしいのではないでしょうか。
消化酵素
太田胃散には、ビオヂアスターゼという消化酵素が配合されています。ビオヂアスターゼはでんぷんやたんぱく質などの消化を助けます。
残念ですが、年齢を重ねるにつれて、体内の酵素の分泌量は減っていきます。その結果、昔はペロッと食べられた食事の量で胃もたれや消化不良に悩まされるわけです。
言い換えれば、消化酵素さえ補ってあげれば、食べたものは酵素のサポートでしっかり消化されることが期待できます。
脂っこいものが好きだったのに食べられなくなった方には嬉しいですよね。
太田胃散の用法・用量
太田胃散の効果には目をみはるものがありますが、用法・用量を守らなければ、効果的とは言えません。多すぎても少なすぎても十分な効果は期待できないので、用法・用量は守りましょう。
太田胃散には缶入りと分包タイプの2種類がありますが、それぞれ用法・用量が異なります。
缶入りタイプの用法・用量は次のとおり
- 15歳以上:1回1.3g、1日3回
- 8〜14歳:1回0.65g、1日3回
- 8歳未満:服用しないこと
g単位で計量するのが大変そうですが、付属のスプーンのすり切り一杯が1.3gの目安です。中蓋の裏がすり切り板になっており、ユーザーの利便性が考慮されているのはポイントです。
粉を先に口に含んでから、水を飲み、舌で軽くかき混ぜてから飲み込ましょう。
分包タイプの用法・用量は以下のとおり
- 15歳以上:1回1包、1日3回
- 8〜14歳:1回1/2包、1日3回
- 8歳未満:服用しないこと
いずれも食後または食間に服用するようにしてください。
太田胃散の副作用と注意点
太田胃散は生薬の特徴を活かした胃腸薬なので、副作用や注意することなどはないと思っている方は珍しくありません。
しかし、中には太田胃散が適さない方もいます。
次の項目に当てはまる方は医師や薬剤師に相談しましょう。
- 甲状腺機能障害がある方
- 透析療法を受けている方
いずれの方も、太田胃散に含まれる制酸剤が治療を妨げたり、制酸剤の成分であるアルミニウムやマグネシウムが体内に蓄積され人体に悪影響を与える恐れがあります。
なお、太田胃散はあくまで生薬の特徴を活かした胃腸薬であり、処方薬にも使われている制酸剤が含まれているので漢方薬ではありません。勘違いしている方がいたら教えてあげてくださいね。
太田胃散で胃の調子が良くなっても食べすぎないように気をつけましょう
様々な胃の症状に効果が期待できる太田胃散ですが、太田胃散があるからと言って油断しないようにしましょう。あくまで症状を緩和するだけで、体質そのものを改善するわけではないからです。
人生の醍醐味である、食事を長く美味しく楽しむためにも、食べる量は控える、消化の良いものを食べる、適度に運動するなどの生活習慣も忘れないでくださいね。
とはいえ、頭ではわかっていても実際に取り組むとなると大変なのが生活習慣の改善。親しい友人や家族との食事では、ついつい食べすぎてしまうのも仕方ありません。そんなときは、自分を責めることなく太田胃散の力を借りてみてはいかがでしょうか。依存するのではなく、適切なタイミングで活用することがポイント。
気持ちもスッキリして、また生活習慣の改善に前向きに取り組めるかもしれませんよ!
この記事を読めば、自信を持って自分に合った胃腸薬を選びやすくなるので、ぜひ最後まで読み進めて参考にしてみてください。
なお、難しい専門用語はなるべく省いて、わかりやすく伝えるので「医薬品なんて難しい内容なんて自分には理解できない!」と思っている人も心配無用です。
では、本題に入っていきましょう!